皆様、この言葉を耳にしたことはありますか?
今回は、この「公式ベストレート」について、他業種の事例をお伝えしつつ、美容室のネット予約での成功事例を書いていきます。
異業種では、ホテル・旅行・ゴルフ・レジャー等、様々なネット予約で「ベストレート」は既に一般的になってきている言葉です。具体的には、以下のような内容です。
予約するお客様が「あ、オフィシャルなサイトからネット予約する方がお得なんだ!」と感じていただき、ホームページからの予約等の「公式予約」に誘導する際に、多く使われている言葉です。
「結局、安売りになるんじゃないの?」
「別に、色々な予約サイトからでいいじゃん。」
「わざわざ誘導するとか、手間かかるのでは?」
公式予約への誘導については、そんな声も聞こえてきそうですね。
では、なぜホテルやゴルフ場が、自社オフィシャルサイトの公式ネット予約等を『もっともお得です!』と言って、お客様の利用を「ベストレート」で増やそうとするのか?大きな理由は2つあります。
1つ目の理由。以下の表がヒントになります!
ホテル業界の例です。1泊¥5,500の場合に、ぞれぞれのホテル予約サイトでは、上記の図のような予約成立への成果報酬が発生します。ざっと見ると、各予約サイトを経由してお客様がホテルを予約すると、¥500~800は予約に誘導しましたよ!という集客誘導の手数料を支払っていることになります。なので、予約サイトでは¥5,500で掲載していても、自社公式予約では仮に「¥5,000のベストレート」にしても、手数料分を考えるとホテルを運営する側にとっては、経費節約になるんです。なので、1つ目の理由は「経費節約」です。
美容室の場合は、ホットペッパーからのネット予約では、来店後に予約メニュー金額の2%が、ネット予約手数料としてサロンに請求されます。
2つ目の理由。まずは以下をご覧ください。
いくつかの予約サイトに掲載すると、それぞれの予約サイトの管理画面をすべて同時に動かす必要があります。なので、本当はホテル独自の公式予約のみにしておくのがよい。しかし、新規の目に留まるためには、複数の予約サイトへの掲載も必要。露出が高く人気のある予約サイトからの予約が多いと、そのサイトのためだけに予約空き数を多く確保しないといけなくなる。そして、そのサイトへの掲載料や予約手数料も払い続けないといけない状態が続く。そんな時に便利な「予約サイトコントローラー」があります。色々な予約サイトの管理画面を、1つにまとめて一元管理してくれるので、予約空き数も平等に公開できる。そして、自社の公式予約も同じように公開できる。人気サイトの言いなりにならないために、予約空き数の平等性を保つ。最初の入り口が、人気の予約サイトだったとしても、その後は自社の公式予約を使ってくれれば経費節約にもなり、さらに自社の公式予約のみを見てくださるお客様になる。ということは、予約比較サイトで他のホテルを見ることなく、そのホテルへの予約を最優先したネット予約の導線がつくられます。2つ目の理由は「顧客囲い込み」です。
美容室でも、いつもホットペッパーから予約するお客様には、他のサロンの情報もたくさん入ってきます。「そろそろ夏ですね!夏のオススメスタイル掲載サロンはこちら!」みたいな感じですね。何度も同じサロンに通っているお客様にも、他のサロンの誘惑が届くんです。これは、ある意味で「浮気推奨」しているようなものですね。
「ベストレート」による公式予約への誘導は、決してただの安売りではない。経費節約にもつながり、予約状況の公開も均等になり、1つの人気ある予約サイト頼りの運営にならないように、自社の取り組みによってお客様の囲い込みにもつながる。非常に理にかなった考え方であると言えます。
ここからは、実際に関東エリアで10店舗を展開している美容室の事例に沿ってお伝えしていきます。以下の図の様に、2つの目的を持って「公式予約」の利用促進に取り組みました。
元々、ホットペッパーのネット予約を、新規も既存もほとんどのお客様が利用されていました。そんな中、弊社営業スタッフも相談を受けて、今後の取り組みをサポートすることになりました。①ホットペッパー依存状態を緩和する。②自社内管理の環境(ホトペ予約以外の、電話予約・次回予約・自社公式予約等)で、顧客をサイクルさせる。この2つの軸となるのが、サロンの「公式予約」への誘導でした。ただ、その中でも「新規客の流入は今まで通り確保する。」ということと「新規以外の既存客を、自社の予約環境に誘導する。」ことを並行して進めていく必要がありました。それを、実際にどのように進めていったのでしょうか?
こちらのサロンでは「ホットペッパー・ホームページ・アプリ」とネット予約を3つに分けて考えました。
まずは新規客について。これまでもホットペッパーを利用して多くの集客をしていたということは、どうしても「お値打ち価格」で興味を引くことが多くなる。なので、最初のきっかけはホットペッパーでも良い。しかし、せっかく自社ホームページからの予約があるなら、そちらから予約してもらえる取り組みも考えておく。ここで、まずは「ホットペッパーよりもお得な新規クーポン」を掲載することにしました。「新規客向けクーポン」のみ「ホトペよりも安い!」そう感じてもらえるような料金設定での掲載です。
そして、固定客について。ホームページでは、6個の新規が対象ではない固定客向けのクーポンも掲載しています。新規客にとっても、ホっとペッパーよりも安い新規クーポンのほかに、ホットペッパーには掲載されていない「固定客向け」のお得な情報もある。これは、お客様に「ベストレート」と感じてもらえるはずです。さらに、次の段階としてアプリ予約があります。ここでは、さらにホットペッパーにもホームページにも掲載されていない「お得に見えるクーポン」があります。図でまとめると以下のようなイメージです。
この「お得に見える。」というのが大きなポイントです。アプリには、何度かそのサロンに行ったお客様しか知ることのできない。お得というより旬な情報がある。ただ安売りしているわけではなく、多くの顧客に「季節ごとの価値あるサービス」が提供されるということです。このサロンでは、最終的に「顧客、さらには常連さんに使ってほしい公式ネット予約」は「アプリ予約」ということをグループ全体で周知徹底し、ホットペッパー→ホームページ→アプリ予約という、公式ネット予約誘導を実現しているとのことでした。ここでの「ベストレート」は、常連さんへの「ベストな価値提供」になったということでしょう。
上記美容室の事例について、担当営業マンのまとめとなります。
①目玉クーポンは新規のみへ提供
②目玉クーポンが固定客へ見えない工夫
③固定客は固定客であるメリットを感じる工夫
④オープンの繋がりからクローズドの繋がりへの取り組み
①~④のそれぞれが連動した取り組みであり、サロン全体で共有できているからこそ、こちらのサロンでは「公式予約の認知」「集客サイトから公式予約への誘導」が実現できているのでしょう。「公式ネット予約」がよりよいサロン経営のためにも必要。「ベストレート」は、価格だけではなく「常連にしかない価値・特典」として提供されている。そういう共通認識ができて初めて、お客様にも浸透していくのではと感じました。
他、私からの番外編として、以下の事例を少しお伝えしておきます。
ホットペッパーで、毎月約15名くらいの新規を集めているサロンのお話です。新規客のうち、多い時は90%が次回予約をしてくださるということで、ポスレジ分析では90%のリピート率になるのですが、ホットペッパーの管理システム「サロンボード」で分析すると、新規客の90%がホットペッパーから離脱しているというデータになります。システム的に、ホットペッパーからの評価は低くなるのですが、そのサロンにとっては問題ありません。こちらでは「ホットペッパーは、あくまで初めてのお客様に自店の魅力を知ってもらうためのツール」と割り切っています。なので、サロンの仕組みとして「次回予約」することで、次の来店の価値もあがることをしっかり伝えています。そして、その取り組みを実現しているヒントとして、以下の図をご覧ください。
何かが「ある!無い!」ということですが、実はクーポンは新規用しかないんです!そして、サロンのメニューも1件しかない。要するに、既存のお客様はホットペッパーの予約を使ってもらうことがそもそもない。という状態にしています。そのために、自社ネット予約・次回予約・電話予約という他の予約導線があるのですが、バランスで言うと以下の図くらいです。
ほとんど「次回予約」なんです。ここでは、次回予約の仕組みやクーポン内容等についての詳細は、そのサロン様の大事なノウハウでもありますので書くことはできません。気になる場合は、お問い合わせやオンライン相談等で、もう少しだけなら詳しくお話しできるかもしれません。
こちらの記事は、第1回『EXCEED.ch』にて発信したお話をまとめております。
ここまでの他業種事例については、弊社福岡オフィスの高原伸泰(右)が担当。美容室の事例については、東京オフィスの青山直樹が担当させていただきました。今後、オフィシャル情報発信の場として『EXCEED.ch』と称して、Zoom・ライブ動画・Youtube等でもサロン経営に役立つ情報を発信してきいきます。随時、コンテンツの充実を図りますのでお楽しみに!
6/11放送分の動画は以下より⇩
次回は7月6日(月)に放送予定で、テーマは「美容室のネット予約一元管理」についてです。今回の「ベストレート」を活かした取り組みのお話でも、少しだけ出てきている「一元管理」ですが、今や美容室のネット予約管理では非常に重要な役割となっています。そんな「美容室の一元管理」について、より詳しく、楽しく、お役に立つお話を準備しておりますので、次回をご期待ください。