いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。
このコラムをお読みの皆様もすでに何らかのPOSシステムをお使いの方も多いのではないかと思います。
弊社のPOSシステムはもちろんですが、多くの理美容室向けのPOSシステムではリピート率を分析する集計機能が備わっているかと思います。
今回はこのリピート率を集計する機能の使い方に焦点を当てて、実際に利用しているPOSシステムをどのように活用することができるのかについてお伝えします。
※POSシステムを未導入だったりこれから導入を検討されている方につきましては、システムを使うことでこんなことができるんだ!とイメージを持っていただければと思います。
そもそも「リピート率」という言葉から確認しましょう。
【リピート率とは】
理美容室の分析指標として利用する場合、一般的には今までにご来店したお客様全体のうち、どのくらいの人が再来店してくれたかを示す割合
となります。
裏返すと、失客率となります。失客率は今までに来店したお客様全体のうち、どのくらいの人が来店しなくなったかを示す割合、となります。
このため、POSシステムによって「リピート率分析」「失客率分析」というように呼ぶ場合がありますが、どちらも同じ目的のために使う機能となります。
一概にリピートといっても更に深堀りできます。
一般的には店舗への再来店があったかどうかというのが大きな見方になりますが、同じ商品を繰り返し購入してくれているのか?という観点で、店販商品の愛用者を確認したり、カラーやパーマ、トリートメントを継続しているのかという見方も可能になります。
また理美容室でのリピート率を集計する場合、お客様の来店周期などを加味して一般的には6ヵ月間以内でのリピートを対象とすることもポイントです。
では早速、リピート率分析を実行してみましょう。
ここでは弊社サロンアンサーの「リピート率分析表」を使ってご説明いたします。
まずは集計条件を設定します。
通常リピート率を集計する場合、1ヵ月単位での集計となるため特定の年月を指定します。
下図1の集計条件(赤枠)では2020年6月の1ヵ月間に店舗に来店したお客様が、その後6ヵ月間(2020年7月~12月まで)に再来店したかどうかを判定します。
その他にも技術商品の購入客・店販商品の購入客だけで絞り込むのか、性別や担当者の指名の有無など細かな設定もありますが、今回はとにかく2020年6月に何度か来店のあったお客様が、その後2020年7月〜12月までの6ヵ月間に再来店しているかどうかという観点で集計を行います。
条件設定ができたら集計ボタンを押すと下図2の集計結果が表示されます。
この一覧表で着目すべき点は4つあります。
まず一つ目。赤枠の部分の「失客」です。
こちらはその名の通り、2020年6月に来店したお客様のうち、6ヵ月経過した時点で期間内に再来店をされなかったお客様となります。傾向としては新規のお客様が失客をしやすく、来店回数が増え「再来」「準固定」「固定」となるほど失客しにくくなります。
ただし、固定客の失客率が10%を超えている場合は要注意です。それだけ常連のお客様が来店しなくなっているという事になります。
二つ目はオレンジの枠の「2ヵ月経過時点の再来率」です。
今回のケースであれば、2020年6月に来店した人が2ヵ月後の8月までに合計何人のお客様が再来店しているのかという値になります。
リピート率分析表では6ヵ月間の期間中にお店にお客様が戻ってきたかどうかを集計します。
このため、一つ目の着目点(赤枠)の失客が仮に少なかったとしても、お客様が6ヵ月目でギリギリ戻ってきていたり、4ヵ月や5ヵ月経過してようやく戻ってきている状態では、失客までしてなくとも来店周期(サイクル)は延びているということになります。
分かりやすくまとめると、
・6ヵ月で戻ってくるお客様・・・単純計算で1年に2回しか来店しない
・4ヵ月で戻ってくるお客様・・・1年に3回来店
・3ヵ月で戻ってくるお客様・・・1年に4回来店
・2ヵ月で戻ってくるお客様・・・1年で6回来店
・1ヵ月で戻ってくるお客様・・・1年で12回来店
が見込めるわけです。
このため、失客していないことと同時に、お客様が再来店するサイクルも短いスパンをキープできているかという点が重要になります。
そこで、オレンジ枠の2ヵ月目の再来率を見る必要があります。
一般的には固定客の60%以上のお客様が戻ってきている、全体でも50%以上のお客様が2ヵ月目までに再来店している状況が望ましいといえます。
三つ目は青枠の2箇所で、その月に新規で獲得したお客様と失客してしまったお客様の差になります。
新規のお客様は毎月来店されることと思います。ただその裏で6ヵ月間再来店がなく、そのまま失客してしまうお客様もいらっしゃるのが事実です。
獲得した新規客の人数と、結果失客してしまったお客様の人数の差がある程度一定かどうかを目安として判断することができます。
もしこの差が開くのであれば、何か問題が発生している可能性が考えられます。
例)
ある月の新規獲得10人 失客15人の場合、差は「5人」です。
別の月では新規獲得13人 失客18人だったとしても差は「5人」です。
この差がある程度一定であればよいのですが、
もしも
新規獲得5人 失客15人
だったり、
新規獲得12人 失客30人
のように過去の実績に比較して差が開くケースがある場合は、問題が発生しているといえます。
・そもそも新規客の獲得自体ができていないのか
・獲得したお客様の失客が増えてしまっているのか
という事になります。
この様な異常値を見つけることが、問題発見の第一歩となります。
四つ目はグレー枠のフリー客です。フリー客とはカルテ登録せずにレジを通したお客様の事です。
フリー客はカルテ登録を行っていないため、仮に再来店したとしても集計することができません。
小さなお子様や一見さんであることが分かり切っているようなケースでは、カルテを作らないこともあると思いますが、常連のお客様なのにカルテを作成していなければデータ活用すること自体がそもそもできません。
お客様カルテの登録はとても重要なものになりますので、個人情報・担当スタッフ名・職業や来店動機といった項目はしっかりと登録することから始めましょう。
今回はリピート率分析表について見ていきましたが、1つの集計表をとってもこれだけ数字を見る観点があります。
データ分析というと難しく思われるかもしれませんが、自店の傾向を掴んで「異常値」が発生していないか?毎月の推移が上向いているのか下降しているのか?POSシステム活用の参考になれば幸いです。
以上、【POSシステムを活用して、リピート率をチェックしてみよう!】についての記事でした。
お読みいただき、ありがとうございました。