新型コロナ問題も徐々に落ち着きつつある中、
ある美容学校関係者の方との情報交換の中で、こんなお話を聞きました。
「実は今回のコロナ騒ぎで、地方の美容学校は学生が増えたそうです。小さな美容学校では、都市部への学生流出が毎年の課題だったので、逆に助かったという意見もあったみたいですね。」
さらに、約半年前の別の西日本のサロンオーナー様とのお話では…
「今、地方サロンは採用に関してはチャンスだと思うべきです。東京や大阪で働くことに、美容学生の親世代がリスクを感じているはずです。情報格差も昔ほど無くなっているので、地方で働くことの良さを知ってもらうべきですね。」
そんなお話を、美容師求人サイトの方にお話ししたところ…
「地方でも、以前から拡大・成長を続けているサロンはあります。そういうところは自社で働く魅力が明確です。結局は、今だからとか地域によってではなく、そもそも“企業としてそこで働く魅力”を明確にしておくというのは、美容業界としての課題とも言えるかもしれませんね。」
というご意見が返ってきました。
確かに。
結局のところ、そこで働く魅力が明確でなければ、入る前にも伝えにくいし入ってからもその魅力に沿った育成はできない。
仮にコロナ問題によって「今がチャンスだ!」と、地方の求人に取り組んだとしても、働く魅力が伴っていなければ長くは続かないし、やはり都市部での美容業界に魅力を感じられてしまう。
『そこで働く魅力』は、成長・繁栄に本当に重要な要素と感じます。
【美容室の最重要課題=新規集客?】
近年の美容業界では、そんなイメージが強くなっていました。
「美容室の集客=ホットペッパー」が代表的ですが、その他にも美容室の集客を支援するサービスは非常に多いです。
確かに、「新規集客」はとても重要です。
しかし、やみくもに取り組むのではなく、「新規集客」を行う目的を考えてみるのも良いと思います。
目的を考えるうえで、ひとつのポイントに、前述の『そこで働く魅力』があります。
実は成長しているサロンでは、早くから「求人」「雇用」「育成」を重要視し、長く働きやすい環境を整備を進めています。
スタッフを育てるため、新規集客にも力を入れる必要があるためです。
このような優先順位で、企業成長を続けているのではないでしょうか?
さらに、私がもっと注目して欲しい事があります。
それは!
【美容室=リピートビジネス】
雇用環境・育成において、実は非常に重要な数字のはずなのに、注目されにくく軽視されやすいのが『リピート』だと感じています。
私達は、様々な地域の様々な美容室のデータを、様々な視点で多く見てきています。
「毎月新規50人!」
「客単価アップ!」
「プラスメニュー率アップ!」
「クーポン利用率アップ!」
…等、
新規に関するデータ分析依頼は多いです。
もちろん、それらも重要な数字ではありますが、お客様と共に長く魅力ある仕事ができる環境とは、やはり『リピート』に支えられるべきです。
この視点に立ち返って“働く魅力”を考えた時、最重要視するべき課題は何か?
答えは『リピート』であり、それが雇用環境を支える大きな要素だと、求人・雇用・集客についての情報交換によって、改めて強く感じています。
新規集客はもちろん重要なのですが、新規客への入客だけで売上アップ・高い売上を維持はすることは可能でしょうか?
答えは“No”です。
実際に、毎月20人近くの新規入客を続けていても、月間50万くらいの売上が続いているスタイリストは多いです。
そういう場合の売上の内訳例を、以下に書いてみます。
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新規20人×¥7,000=14万
2回目客10人×¥7,000=7万
3回目以上客40人×¥8,000=32万
計53万
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どうでしょう?
いませんかね?
「毎月の新規20人とか、そんなに続かないでしょ!」
という声もあると思いますが、あくまで一例です。
仮に新規10人としても、計46万で月間約50万と捉えることもできます。
ここでお伝えしたいのは、美容師として
「多くの新規にずっと入客出来る!」という事は、
「ずっと働く魅力にするべきではない」という事です。
最初の成長段階ではもちろん重要ですが、長く活躍する美容師になるほど、新規客は少なくなっていきます。
では何を魅力にするのか?
「ここで頑張れば、ご指名のリピーターで予約がいっぱいになって、長く多くのお客様に愛される美容師になれる!」
そんな成長イメージを、最初から持つことができるか?
これを“働く魅力”にする。
そのためにも、美容室の『リピート』と言う数字は、本当に大きな役割を持っているのです。
主に3つ書いておきます。
①成長スピードの加速
新規10人のうち、2人リピート?4人リピート?6人リピート?当たり前ですが、それだけで今後の入客数に大きな違いとなってきます。
美容室を地域ビジネスとして捉えた場合に、ひたすら多くの新規客が来るわけではありません。
なので、1人1人のお客様が、次もリピートしてくださるための「育成の体制」はしっかり整えておくべきです。
②集客コストの削減
多くリピートして下さるなら、当然多く集客する必要はありません。
ただ、既存客もどうしても失客します。
シンプルに考えると、その失った分を補填するために新規集客するのなら、リピート率が高いほど補填は少なくてすみます。
毎月の総客数に対して、新規客数比率10%以下でも成長するサロンはあります。
逆に、毎月の総客数に対して、新規客比率20%でも成長していないサロンもあります。
新規を増やすほど成長できる=コストもかかる!
それが『リピート』を高めることで、コストを最適化できます!
③長く通ってくださるお客様
美容室・美容師にとって最も重要ですね!
古くから美容業界では“生涯顧客”という考え方があり、私のような昭和の営業マンにとっては、非常に大好きな言葉で、それが美容業界を支えているとさえ感じています。
ただ、残念ながら今の若い世代では、お客様との関係性も「広く浅く」とか、ある程度で充分という感覚の方も増えているというご意見もあるそうです。
でも、そんな時代だからこそ、美容室で“生涯顧客”と共に成長できることは、今後の豊かな生き方にもつながってくるはずです。
美容師としての理想の成長イメージを、生涯顧客とともに作っていって欲しいです。
今回は、求人・採用・育成等についての情報交換から、美容業界の課題について考えたことを書いてみました。
どんなビジネスでも、再購入・再来店・再利用が多いほど、反映・成長は続けられるはずです。
美容業界データを長年分析してきて、集客とリピートを関連付けて考えることは多かったですが、少子高齢化が続く日本では、働く人を確保することの優先順位が上がってきています。
そんな中で、そこで働く魅力を明確にすることに、リピートは非常に重要な要素だと改めて感じました。
予約・電子カルテ・会計等、毎日のサロンワークを便利にするツールとしての役割が増えてきた弊社製品・サービスですが、リピート率・顧客売上貢献度等の裏方と言えるデータは、今後も変わらず重要です。
新型コロナ問題が落ち着きつつある今、改めてリピート率アップに取り組むことは、今後のサロン成長にますます重要になってくるはずです。
気がつけば私も美容業界オンリー21年。様々なリピート率アップ事例も知っています。
『リピート率アップ』
気になる方は是非ご相談ください。